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【開催報告】「一歩踏み出すってどういうこと?」 ~特別講演&ワークショップ「元世界銀行副総裁・西水美恵子さんとみんなの対話」~

みなさん、こんにちは!sameshimaです。
師走も半ば・・・街も賑やかになってまいりました。華やいだ気分を感じる時節となりましたね。

さて鹿児島哲学カフェは、先日、久しぶりに外部開催をさせていただきました。2月の明推協さん@沖縄さん以来でしたので、約9か月ぶりでした。おかげさまで、鹿児島哲学カフェとしても、個人的にも、本当に良い時間を過ごさせていただきました。

さて、どんなイベントかと申しますと・・・
特別講演&ワークショップ「元世界銀行副総裁・西水美恵子さんとみんなの対話」

鹿児島大学医学部の学生さんたちを中心に企画運営された、充実した時間でした。
第一部:元世界銀行副総裁の西水美恵子さんの講演
第二部:西水さんも参加されての、石川世太さんのワークショップ
第三部:鹿児島の各種団体によるブース出展巡り&フリートーク

お声掛けくださいました鹿児島大学の河田祥吾さん、心より感謝申し上げます。

 

ではまず、西水美恵子さんについて、簡単にご紹介を。
経済学者から銀行家へと転身され、世界銀行で副総裁を務められた日本人の女性です。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、「ほぼ日刊イトイ新聞」で展開された、西水さんと糸井重里さんとの対話「それはまるで、ダンスのように」、こちらをご覧いただければ、どことなく西水さんのお人柄が伝わるかと思います。

 

たくさんの人の心に語り掛けて来られた西水さんのお話は、思いがけぬほどに静かな声で始まりました。
約1時間半・・・射抜くような眼差しながら、時折ふっとわたしたちを和ませるようにチャーミングな笑顔を見せつつ、西水さんはご自分の心をひらいて見せてくださったように思います。

お話は、西水さんが強烈な体験をされたブータンという国を中心に進みました。
ブータンは、「国民総幸福(GNH)」を国の指標としていることで知られています。西水さんは仰います。幸福度を国家の基準に定めることは為政者の覚悟が問われることであると。為政者が大切にすべきは民の幸福であり、それ以外の何物でもないと。

鹿児島哲学カフェでもこれまで約3年、さまざまな問いで対話をしてきたわけですが、様態を変えながらいつも「幸福とは何か」という問いが姿を見せていた気がします。ブータンは国家指標の独自性によって注目されている国のひとつですが、注目される理由はそこに「幸福」という、わたしたちが普遍的に希求してやまないものが在るからではないでしょうか。

ブータンについて、西水さんについて・・・よろしければぜひ、西水さんのご著書「国をつくるという仕事」をお読みいただければと思います。そのうえで皆さんと対話ができたなら、とても嬉しいです。

 

さて・・・これまで不思議なオファーをいくつかいただいてきた鹿児島哲学カフェですが、今回のお話もまた、不思議な縁を感じるものでした。

3年ほど前でしょうか。
ちょうど哲学カフェをはじめた頃。いろんな思いをしていた時期に、友人が教えてくれたのが西水さんの存在でした。当時私はリスタートの時期にあって、今後どう自分を作っていくかと試行錯誤の段階にいました。西水さんに影響を受けたと言う友人は、年下ながら自分の意見を明確に自覚している聡明な人で、おしみない優しさを持った人物でした。そんな友人をインスパイアした西水さんという人は、いったいどんな人なのか・・・?
その地点が、私と西水さんとの出会いでした。

当時「国をつくるという仕事」を読んだ感想は・・・正直なところ「難しい」。「社会」という概念が未成熟だった当時の私にとって(もちろん今も未成熟ですが、笑)、ある意味哲学書よりも難解でした。まず、彼女になにが見えているのかわからない。そして、なぜそういう心になるのか共感ができない。友人と私との間の隔たりはなんと大きなものかと慨嘆しました。なんとか読み終えたものの、読み切るのが精いっぱいの状態。西水さんはもとより、友人もまだまだ遥か遠い人、でもいつか追いつきたい!というのが、そのときの印象でした。

それから約3年、体当たりでいろいろなことにぶつかってきた気がします。泣いたり笑ったり、みなさんをはじめさまざまな人々に出会いながら、たくさんのことを学ばせてもらいました。また、西水さんと同じく、Newsweek 世界が認めた日本人女性100人として選出されている、坂之上洋子さんの記事などにも出合い、西水さんをいくつかの角度から学ばせていただいて、徐々にその言葉が入ってきてくれるようになりました。

そして、そんな時点でいただいた今回のお話。なにか不思議なご縁を感じずにはいられませんでした。
この3年間で出会った人々に感謝すると同時に、まだまだ未熟ではあるけれども、自分もまた次の誰かにpay it forward・・・ご恩送りできたら。そう深く思うことでした。

西水さんに、個人的にはこんなことをお伝えしました。
西水さんのことを知って以来、3年間、心の中で育ててきたある思いがあります。今日お会いして、その思いを育て続ける気持ちが固まりました。ありがとうございました。と。

今はここで書けないことばかりですが、いずれみなさんにお伝えできればいいなと思います。心動かされる一日でした。

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(2013.11.09.SNAP)

 

第一部の西水さんのお話の後、展開されたのは第二部。石川世太さんによる、西水さんも参加されてのワークショップでした。

この考えのもと、それぞれ皆と語り合いたいテーマを挙げていきます。
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出てきたテーマについて、語りたい人で集います。
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あなたにとって幸福とは
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もやもや
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真剣な語らいが弾けた時間でした。ここからなにかはじまった人も、きっといるのでしょうね。

 

さて、最後は第三部。私たちのブースで開催させていただいたのは「一歩踏み出すってどういうこと?」。
集まってくださった、医学部の学生さんを中心に哲学カフェを行ってみました。短い時間ではありましたが、対話、問答を繰り返すことでクリアになってくる「一歩」+「踏み出す」という概念が・・・あったでしょうか。はじめてお会いする皆さんと楽しい時間を共有させていただいて、とても嬉しかったです。終了後、「哲学カフェ、ずっと気になっていました。ぜひ参加したいです」というお声を何名もの方からいただいて、こちらも大変有難かったです。

鹿児島哲学カフェは他県など多くの哲学カフェと異なり、大学関係者が母体ではありません。同じ年の会社員二人で、あくまで「哲学カフェ」を目的としてやってきました。noseさんも私も個人的に抱えるパッションはあるし、真摯にやってはいるけれど、「楽しみながら」をたぶんいちばん大切にしてきた気がします。そんな生き方があってもいいんだ、そんな大人でもいいんだ・・・と思ってもらえれば大成功だね、と話しながら参加させてもらいました。学生のみなさんに、なにか参考になったなら幸いです。
ご参加くださった学生の皆さん、ありがとうございました。ぜひいつでも、遊びにいらしてくださいね^^

 

なにげに、noseさんカメラ目線・・・
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15分ほどの時間でしたが・・・「一歩」「踏み出す」という対話・・・
「から(殻)」というキーワード。
20131109西水さん講演会

いい時間でした。ありがとうございました!
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(2013.11.09.SNAP)

 

最後に。
今回の企画はまず主宰でいらっしゃる、河田さんの熱い心あってのものだったと思います。医学部在学中というお忙しい時間を過ごされながら、河田さんはじめ皆さん、おそらく寝る間も惜しんで準備されてきたのだと思うと頭が下がります。河田さんの本気の思いが西水さんに伝わって、この日鹿児島で西水さんにお会いできたこと。その喜びは決して忘れませんし、育てつづけていこうと思います。

一人の人との出会いが、人生を変えることがある。
この日皆で共有した時間が、鹿児島の、日本の未来に繋がって欲しいと願ってやみません。

未来をつくるのは私たちひとりひとり。
その思いを噛みしめながら、私も、また明日から進んでいこうと思います。

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